3.欠けた月

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満月の次の夜――。 居た。昨日の人だ。また煙草を吸っている。あたしは近寄ってみた。 「ここ好きなんだ?」 「まーね。」 「だれか待ってるの?」 「別に。」 風が吹いた。 「あたしと会ったことある?」 彼はゆっくりと白い煙をはいた。 「ないよ。」 「ほんとに?」 「人違いじゃないの?」 「……」 一瞬何かの映像が頭をよぎった。蒼い目をした人。あたしの隣にいる人。 「思い出した。吸血鬼…。」 さっきよりも強い風が吹いた。あたしの隣にいる、蒼い目の男の人は何も言わなかった。 「アタリ?」 あたしはそのときすでに思い出していた。彼を知る者は殺されると。
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