1.リョウ

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追ってこない・・・。 少し走ったところで足を止めた。 次の瞬間、上がった体温がいきなりまた下がった。 薄暗い 並木道の前方に見えるのはあの男じゃないか? こっちへ向かって歩いてくる。 なんで前にいるの? 気味が悪い。 一歩。 また一歩。 逃げようにも足がすくんで動けない。 『リョウ』から目が離れない。 『リョウ』という男は私の目の前まで来た。 「こんなとこに一人でいたらあぶないよ?――吸血鬼が出るからね。」 私は叫ぼうとした。 涙目で助けを呼ぼうとした。 でも声が出ない。ヤツは冷たい手で私の口をふさいで、こう言った。 「痛くなんかないよ。全然へーき。だーれも死んだりしないって。」 誰か助けて! 誰が声にならない声を聞きつけ助けてくれるとゆうのか。 凌!! 助けにきてくれる気がしたのだ。気のせいに決まってる。 あれからもう一か月もたったんだから。
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