~LYING FIGURE~

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ラジオが再びノイズをあげる 私は緊張し、身を強ばらせた するとノイズに混じって、女の声が聞こえてきた それはメアリーの 悲痛な声 『私は‥‥‥にい‥‥ だ‥‥‥会いに‥‥ ‥‥‥‥いる あ‥‥‥‥た私は こ‥‥‥いるから ジェイムス‥‥‥』 メアリー… 君は何処にいるんだ? もう一度だけでも声が聞こえてくれば そう思い、ラジオを胸ポケットにしまう そして私は来た道を引き返し、再びリンジー通りへと戻って来た この血痕はあの化け物のもの? それとも化け物が誰かを殺めたのだろうか? ならば人が居る? いくら考えても分からない 正直、今すぐにでも帰りたい だがメアリーはこんなにも危険な町で、私を待ってくれている 早く彼女と再開し、この町から脱出しよう 私はそう強く決心した メアリーを探しに思い出の場所の1つである、ネイサン街道沿いの公園へ向かう しかし ネイサン街道には出られなかった リンジー通りの道が断たれていたのだ 文字通り 道が無くなっていた… 突然の地盤沈下でも起こったのか とにかく目の前の道は崩れ、崖となっていた 何故だ?  この町の異変… 『町がおかしくなっているから…』 不意に墓場で出会った少女の言葉が思い出された 『行かない方がいい』 あの忠告を もっと真剣に受け止めていたら… …受け止めていたら? そうしたら私はここに来なかった? 真っ直ぐ家に帰った? それは無い そして異変を目の当たりにしたからといって 今更引き返すことも無い メアリーが確かにこの町に居るのだから ノイズに混じった彼女の声 それだけが私が此処に留まり、散策を続ける理由だ 私が此処に留まるには、十分過ぎる程の理由だから だから私は歩き続けるのだ 彼女に会えるまで…
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