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俺も行くと決まって、千鶴達は急いでスーツを脱ぎ捨て私服に着替えだした。
俺もつられて着替えだす。
……そりゃスーツのままオールなんて堅苦しいもんな。
なんて一人で納得している俺の身体は、いつの間にか千鶴に抱き上げられていた。
本当いつの間に?
それくらい、抱き上げられた感覚が皆無だったものだからある意味気持ち悪い。
「なんで抱き上げてんのかな」
「送迎の車が来たからですよ。ちんたらしてたら、何言われるか分かりませんからね」
ようするに、俺がちんたらしてて遅れたら自分達にもとばっちりが来るから、それを避けるために抱き上げたと………。
なんだそのくだらん理由は。
もっと理由を付けるならちゃんと付けろよな。
今から下ろせなんて言って暴れたところで、俺はデコピンをくらうだけなのが分かっているので、おとなしく抱き上げられたまま送迎の車のところまで。
先に言っておくけど、俺は決してチビじゃない。
千鶴や幟鶴が高すぎるだけだ。
169はある。
かなり微妙なところで止まってくれたものだから、毎朝牛乳飲んでる。
これは誰にも言ってないから、秘密な。
「早く乗ってください」
「僕が先に乗るー。くおは僕の横ね」
「ん、分かった」
結鶴が先に乗り、俺が次に乗り込んだ。
あー……このシート気持ち良い。
座り心地が最高なんだけど。
結鶴にこの感動を伝えよう。
「結鶴ー、かなり座り心地良くないか?この車さ」
「そうだよね!僕も思った」
「結鶴は分かってくれるか!!横の毒舌眼鏡お兄様兼キングと変態野郎と違って!」
「……誰が毒舌眼鏡お兄様兼キングですか。長ったるしいあだ名か称号か知りませんが、そんなもの付けないでください」
「俺は久遠専用の変態だからな!!」
余計タチ悪いわ!!!
千鶴なんてそのままだろ?
ただ鬼畜を入れようかどうしようか、一秒くらい悩んだけど、鬼畜っていうところまで鬼じゃないから付けないことにした。
ギャーギャー騒いでる俺たちを余所に、車は走りだした。
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