part02†泡沫

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俺も行くと決まって、千鶴達は急いでスーツを脱ぎ捨て私服に着替えだした。 俺もつられて着替えだす。 ……そりゃスーツのままオールなんて堅苦しいもんな。 なんて一人で納得している俺の身体は、いつの間にか千鶴に抱き上げられていた。 本当いつの間に? それくらい、抱き上げられた感覚が皆無だったものだからある意味気持ち悪い。 「なんで抱き上げてんのかな」 「送迎の車が来たからですよ。ちんたらしてたら、何言われるか分かりませんからね」 ようするに、俺がちんたらしてて遅れたら自分達にもとばっちりが来るから、それを避けるために抱き上げたと………。 なんだそのくだらん理由は。 もっと理由を付けるならちゃんと付けろよな。 今から下ろせなんて言って暴れたところで、俺はデコピンをくらうだけなのが分かっているので、おとなしく抱き上げられたまま送迎の車のところまで。 先に言っておくけど、俺は決してチビじゃない。 千鶴や幟鶴が高すぎるだけだ。 169はある。 かなり微妙なところで止まってくれたものだから、毎朝牛乳飲んでる。 これは誰にも言ってないから、秘密な。 「早く乗ってください」 「僕が先に乗るー。くおは僕の横ね」 「ん、分かった」 結鶴が先に乗り、俺が次に乗り込んだ。 あー……このシート気持ち良い。 座り心地が最高なんだけど。 結鶴にこの感動を伝えよう。 「結鶴ー、かなり座り心地良くないか?この車さ」 「そうだよね!僕も思った」 「結鶴は分かってくれるか!!横の毒舌眼鏡お兄様兼キングと変態野郎と違って!」 「……誰が毒舌眼鏡お兄様兼キングですか。長ったるしいあだ名か称号か知りませんが、そんなもの付けないでください」 「俺は久遠専用の変態だからな!!」 余計タチ悪いわ!!! 千鶴なんてそのままだろ? ただ鬼畜を入れようかどうしようか、一秒くらい悩んだけど、鬼畜っていうところまで鬼じゃないから付けないことにした。 ギャーギャー騒いでる俺たちを余所に、車は走りだした。
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