part02†泡沫

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「仲が良いんですね」 不意に運転席から声がしたので、俺はその声にはいと返した。 仲が良いか悪いかって言えば、誰にも負けないくらいに仲が良いと思ってる。 幟鶴は変態だけど親友だしな。 「葵さん、運転お疲れ様です」 「いいや、苦でもなんでもないですよ。君たちは叔父の宝物ですからね」 ん………? 今、俺の聞き間違いじゃなけりゃ"葵"って単語が出てきたような…。 「申し遅れました。私、瀧澤葵と言います」 「やだなぁ、葵ちゃん。言わなくても分かってるよ」 「結鶴くん、でした?それは光栄です」 瀧澤、葵………? タキザワアオイ? た き ざ わ あ お い ? 「ぎゃああぁぁあぁぁぁぁあぁっ!!!!」 「…クスッ………どうされました?」 「こんの…こんの猫被りがあぁぁあぁあぁぁぁぁあっ!!!」 「こんな狭いところで叫ばないでくださいよ。耳障りです」 「耳がキィーンってぇ………」 瀧澤葵なんて人名を、こんなに早く聞くことになるとは思わなかった。 それがしかも同乗者だったなんて……。 敬語なんて使って猫被りやがって!! 俺知ってるんだからな!? 瀧澤葵は天性の俺様で、慈愛や慈悲の欠片も持ってないこと!! 大体俺は瀧澤葵が敬語を使えること自体で驚いてんだからな。 それに加え、同乗者なんて知ったら目眩してきた。 「こら、負のオーラを放ちつつ目眩を起こしてるんじゃないですよ。そのあからさまに出してる拒絶のオーラも引っ込めなさい」 「ぅ………はぃ…」 千鶴に逆らったら怖いことは、あの店の人間だけじゃなくて、あの辺一帯の人間は大体知ってる。 だから、俺はおとなしく出ていたらしいオーラを引っ込めた。
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