part02†泡沫

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「なんで瀧澤葵が乗ってんのさ?」 そっと隣に座っている千鶴に耳打ちした。 時折、瀧澤葵の方を見て、こちらを見てないから確認しながら。 「知りませんよ。俺たちが仕組んだわけでもありませんからね。そんなに知りたければ、本人に聞けば良いんじゃないですか?目の前にいるわけですしね」 ………お前、幟鶴と一緒にくたばれ。 嫌いなことを知ってるくせに、そうやって千鶴はからかってくるから嫌だ。 さっきだって返事を返したのは、瀧澤葵だってことを知らなかったから。 声を集中的に聞きながら常日頃いるわけじゃないから、覚えているわけがないからな。 会話しちまっただけでもこっちにしては、人生最大の汚点だ。 「くそぉー………」 「着きましたよ。ルーム番号は受け付けにいる方に聞いてください」 「この猫被りオヤジ…………」 俺は最後その言葉を車内に残し、車から引き摺りだされた。 ───── 千鶴に。 「何すんだよぉ………アホ、クズ、マヌケ、千鶴なんか死ね…」 「よくも本人を前にしてそんなこと言えますね、久遠?」 「千鶴のボケ………」 「…………久遠じゃなかったら、殺してますよ…まったく」 もうあいつの猫被りに付き合ってられない………。 二度と喋りたくない……。 関わりたくない…。 早くもテンションがた落ちになった俺を幟鶴が抱き上げ、受け付けに行きルーム番号を聞いた。 言われた部屋に俺たちは向かった。
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