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「遅くなった……って、なんだよ。この有様は」
俺たちの後ろに立っているのは、無論瀧澤葵。
ほら見ろ!!
口調が俺様だろ?
猫被りオヤジ!!!
「くおが僕に好きだからって言ったら、こうなっちゃった」
「結鶴…………?」
「Σひぃっ!!」
「早く入ろ。てめぇらも自分らで出した鼻血なら、自分で片付けろよな」
『分かってます!!姫!』
「マジくたばれ……………」
血もだだ漏れ、俺の本音もだだ漏れ。
すべてがドロドロ、だだ漏れ。
まだ入り口に立ちっぱなしでいる瀧澤葵には、殺意がめらめら。
んとムカつく。
鼻血も綺麗に吹き終わったみたいで、俺は千鶴と結鶴が座っている間にすっぽりと座った。
死んでも幟鶴と瀧澤葵の隣には座らねぇ。
間に座るなんて自殺行為だな。
幟鶴は変態だし、瀧澤葵は心底嫌いだし。
幟鶴は嫌いじゃないけど、変態だから嫌。
「さ、最初はくおから行こうか?」
「なんで俺なんだよ」
「良いでしょ……?ダメ…?」
この野郎…………。
俺が結鶴のおねだりは断れないって知った上でこんなことしやがって……。
小悪魔めぇっ!!!
「で、何歌えって?」
「いつもの!!」
「───── 凌辱?」
「うんっ!やっぱり、くおの美声からだよ!」
凌辱とは、俺の十八番なんだが………。
かなり高音域の曲なんだよな。
その上高低激しい曲なんだよな。
結鶴、悪気がないのは分かる。
痛いほど分かるが………
お前は俺の喉を潰す気かっ!!
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