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「結鶴、凌辱歌うのは一回だけだからな?」
「良いよ!!あとはみんなからのリクエストで!」
イントロが早くも流れだす。
仕方ない。
断りきれなかったのは俺だから。
いや、正直悔しいよ。
いっつも結鶴のおねだり攻撃に負けてる俺が情けないよ。
でもすんげぇ可愛いんだ……。
小動物みたいで…。
お前はキャバ嬢だろって感じだぜ?
なんで結鶴みたいに可愛い奴がホストなんだって思うよ。
兄弟の中で一番純粋で可愛くて、素直で愛らしくて……ぐぁぁあーっっっ!!!
「愛してるぅぅぅうぅぅっ!!」
「やっぱりくおかっこいい!!」
喉イテェよ!!
馬鹿野郎!!!
なんとか歌い上げるものの、俺は喉を鍛えているわけじゃないからあっという間にバテた。
「イテェよぉ……千鶴ぅ…」
「こういう時だけごますりしてこなくて良いですよ」
「いや……本当イテェ…」
「ったく、仕方ないですね。のど飴ですか?それともキスですか?」
──── くたばれ、千鶴。
キスなんて選択肢があるわけねぇだろうが。
「のど飴ぇ……」
「はい。良かったですね、俺がのど飴中毒で」
「こういうときだけはありがたい………」
千鶴は自他共に認めるのど飴中毒だ。
暇さえあればのど飴をガリガリ噛み砕く音が千鶴から聞こえる。
さすがに接客中は我慢してるみたいだけど、そのあとは酷い。
千鶴の歯、欠けてるんじゃねぇかってくらいガリガリガリガリ……文句言いながら噛み続けるんだ。
まあ、おかげでこういうとき助かるんだが。
俺は千鶴から一つのど飴をもらい、口に入れた。
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