part02†泡沫

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あー……やっぱ、のど飴に限る。 俺はのど飴中毒じゃないぞ? たまに食べる程度だからな。 まあ、千鶴もガリガリ噛むようになったのはカラオケがきっかけ。 千鶴も結鶴に俺みたいに歌わされて、のど飴食い過ぎてクセになったらしいよ。 だから、こいつの別のカバンの中にはのど飴が溢れるほど入ってる。 単なる甘党じゃなくて、のど飴専門の甘党だからな。 チョコ、クリーム、まあ飴以外は全滅だから喫茶店に誘ってもコーヒーしか飲まないんだよな。 そういや、さっきから千鶴なんにも歌ってないけど……… 「千鶴は歌わないのか?」 「歌えとは言われてませんからね。自分から歌いたいとは思いません」 「じゃあ歌え」 「何をですか」 「千鶴の十八番」 「はあ………仕方ないですね」 おもむろに番号入力し曲を割り込んだ。 ………順番守ろうぜ。 俺が言えたことじゃねぇけどよ。 そういや、千鶴の十八番ってなんなんだろう。 俺知らねぇや。 イントロが流れだす ────。 「蒼く光り逝く幻を、掴もうとあがいた僕──────」 千鶴が歌いだした瞬間、空気が一気に変わった。 張り詰めるような、針で突けば破れてしまいそうな────言い表わしようがないけど、ただ誰も喋ろうとはしなかった。
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