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「でも、幟鶴と葵ちゃんの間に挟まれるより葵ちゃんだけの方がマシでしょ?」
「ま、まぁ…………」
そりゃあ、幟鶴と瀧澤葵に挟まれるよりマシだと思うさ。
けどよ、それなら幟鶴に来てもらうほうが何倍もマシだぜ?
なんでよりによって瀧澤葵なわけ?
せっかく千鶴の美声聞けて、テンション上がってたのに ─────がた落ちだ。
「あからさまに嫌そうな顔しないの。ね?」
「ね?じゃねぇよ………。俺がどんだけ瀧澤葵のこと嫌ってるか、知ってて言ってるだろ?余計たち悪いって、結鶴」
「……僕、脅されたんだよ?くおは千鶴の歌声に酔ってたから知らないと思うけど、その間にドスの効いた声で"隣譲らないと、結鶴首飛ばす"って…」
あいつ、どんだけ姑息な手使ってくんだよ……。
結鶴の首飛ばすって…。
俺が結鶴のこと好きだって知っててそういうこと言ってくんのか。
本当、ムカつく奴。
一度ガツンと言ってやろう。
結鶴、千鶴になんかしたり、言ったりしたら許さねぇって。
まあ、こいつらが本気になったら俺が出る幕ないけど。
「結鶴、俺が一度ガツンと言っといてやるから。だから泣きそうな顔すんな。な?」
髪を撫でながらそう言うと、結鶴は小さく頷いた。
ったく、結鶴を普通ここまでいじくって無事だった奴いねぇのに。
やっぱり、店長の甥っ子兼あの店一番のホストだからか。
首飛ばされたとしても、結鶴だったら就職先くらいすぐ見つかるとは思う。
けど、ここを気に入ってるからやめさせられたくねぇんだろうな。
結鶴は立ち上がり、見計らったように瀧澤葵がこっちに来た。
覚えてろよ?瀧澤葵。
俺がこてんぱんにしてやるからな。
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