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「こんなに近くで話すのは初めてだな?姫城久遠」
「呼び捨てにするな。それに、お前結鶴に何言ったんだよ」
俺も瀧澤葵って呼び捨てにしてるけど、それは憎しみを込めての呼び方だ。
好意なんて感情は、砂ほどにもない。
結鶴にあんなこと言ったんだから、砂からミクロになったな。
「何も言っていないが?ただ、姫城久遠の隣を譲ってほしいと言っただけだ」
「嘘言え。結鶴の首飛ばすとか物騒なこと言ってたらしいな」
「なんのことだ。俺には身に覚えがないんだが。結鶴に譲ってほしいとまでは確かに言ったが、首を飛ばすなんてことは言ってない」
………嘘吐くのもいい加減にしろよ。
結鶴をそんなに悪者にでもしたいのか?お前は。
今更何を弁解するつもりだ。
俺は騙されないからな。
絶対に、絶対にだ。
「結鶴が何を姫城に言ったのか知らないが、俺が言ったのは本当にそれだけだ」
「………しろ…」
「姫城?」
「いい加減にしろよ!!」
立ち上がり瀧澤葵を怒鳴り付けた。
これ以上結鶴を侮辱されてたまるか。
他のメンバーも俺を見てきたけど、俺には関係ない。
当の瀧澤葵はと言うと、驚きもせずにタバコをふかしていた。
……余計に腹立つ。
「お前が結鶴の何知ってんだよ!結鶴はそう簡単に嘘なんか吐いたりしねぇよ!!!勝手なことばっかり言うな!お前が嘘吐いてんだろうが!!?大体な、俺はお前が心底嫌いなんだよ!!それでもこうやって仕方なく話してやってんのに、挙げ句結鶴の悪口か!?ふざけんのもいい加減にしろ!!」
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