part02†泡沫

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我慢ならなかった。 例え俺が貶されようが罵倒されようが、大抵のことは言い返すだけで済む。 だけど、友達のことを貶されたり罵倒されるようなら……俺は犠牲を厭わない。 「………姫城、結鶴を見てみろ」 「なんなんだ!!!」 とは言っても、条件反射で身体は結鶴の方に振り向いた。 ───── 何笑ってんだよ。 誰のために俺がこんなに瀧澤葵に言ってるのか分かってんのか? 「何笑ってんだよ」 「くお、あれくらい言わないと席譲ること嫌がるでしょ?だから、"首飛ばす"を付け足したんだよ。ごめんね?」 ごめんね?じゃねぇよ。 どれだけ今の俺が赤っ恥かいてるか分かってんのか。 さすがに空気を読んだのか、誰も笑っちゃいねぇ。 ───── けどよ、俺のプライドは今の結鶴の一言でめっためただ。 あの時、確かにその言葉を付け足されなかったら絶対に譲らなかった。 だからってそれを利用すんなよ。 なあ、結鶴。 その場にいられなくて、俺はボックスを抜け出したんだ。 別に結鶴に裏切られたわけじゃないのに、涙が流れて止まらなかった。 誰かに見られたくなかったから、ボックスの近くにあった神社の石段に座り込んだ。 ここまで走ったんだから、もう誰も追ってこないと思ったんだ。
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