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「うぇ……っう"ー」
鼻をずぴずぴさせながら、膝を抱えた。
俺が結鶴や千鶴、ついでに幟鶴も瀧澤葵以外の奴を本気で失いたくないって思ってること、知らないはずねぇのに………。
どうせ利用するなら、もっと違う方法で利用されたかった。
こんな利用のされ方は、絶対にされたくなかった。
「風邪引くぞ」
「誰だよ………帰れよ…っ!!」
そっとしておけよ。
お前が誰だか知らねぇが、ちょっとくらい気持ちを察してくれ。
俺は一人でいたいんだよ。
「姫城が心底嫌ってる瀧澤葵。結鶴、反省してるって」
「………一番お前には…追ってこられたくなかった…っ…」
「そういうな。俺は姫城も結鶴も利用した気は更々ないが、お前にそう捉えられてしまったなら謝ろう。すまなかった」
やめろ……やめろよ…っ…!!
謝られたいわけじゃねぇんだ。
それに、お前は孤高のホストだろ。
頭なんか…下げてんじゃねぇよ。
気付けば、俺は顔を上げていた。
頭を下げる瀧澤葵。
……かっこわりぃ…。
「俺は誰かに謝られたいわけじゃねぇんだ………頭、上げろよ…」
「すまなかった」
「頭上げろよ…」
「結鶴も反省している」
「……頭上げろって言ってるだろうが」
何回言わせれば気が済むんだってくらい、頑なにして頭を上げようとはしなかった。
俺には訳が分からなくて、ただ俺なんかに頭を下げ続けている瀧澤葵が、とても小さく見えた。
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