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今日の仕事も終わった終わった。
新しいスーツも香水と化粧品、それと酒の匂いが染み付いてしまっていて、今まで着てきたスーツと大差がなくなった。
これ結構奮発して買ったスーツなのに。
凹んでいる俺の身体が急に揺れ、誰かに抱きつかれた。
「何神妙な顔してんの?」
「………幟鶴(しづる)か。お前、仕事上がったのか?」
そう聞くと幟鶴はもちろんと言って、俺に抱きつく力を強めた。
この怪力野郎が!!!
骨折れたらお前のせいだからな!
幟鶴もとい、神崎幟鶴(かんざきしづる)は俺の親友だ。
もう二人幟鶴に兄弟がいる。
千鶴(ちづる)に、結鶴(ゆづる)。
千鶴は敬語で毒舌の29歳。
結鶴は完璧な弟キャラの21歳。
ついでに幟鶴は変態だけど、他は異常なしの25歳。
年からすれば、俺の方が年下なんだけどここで働きだすようになってからは、前よりも仲良くなった。
千鶴と結鶴とも。
どうもこいつら兄弟は、群れるのが好きらしくいつも俺に付き纏う。
29歳の三十路寸前おじじも、飽きもせず俺に抱きつきに来る。
21歳の可愛い弟キャラ結鶴なら許せるけど、さすがに千鶴と幟鶴はパスだ。
俺の好みは断然結鶴だ。
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