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「属性魔術は……使えない」
リースとシュラは胡蝶の暗号の様な言葉を頭の中で何度も繰り返し、何とか解読しようとするが、胡蝶の言葉の中に何かが隠されているとは思えない。
「ちょっと待って下さいますか……今『使えない』と仰いましたか?」
左手で胡蝶を制止し、右手で眉間をマッサージしながら聞き返すリースに胡蝶は『うん』と言ってにこやかに頷く。
その時、胡蝶が見せた脳天気な表情に瞬間的にリースが不快感を露わにした表情になるが、すぐに元の表情に戻す。
「あ~……何か誤解されてるみたいだけど、俺は魔術が使えないわけじゃないぞ」
それを聞いたリースとシュラは頭に?を浮かべながら首を傾げる。
すると胡蝶はそれに答える様に話し始める。
「そういう反応になるよな……俺は【時の魔術師】って呼ばれてる」
「時の……魔術師?」
この【漆黒の姫君】と【時の魔術師】の出逢い……これが停止した時を再度刻む為の引き金となった。
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