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リースはもともと美しい顔立ちをしているのだが、盛大に行われている華やかなパーティーにも関わらず漆黒のドレスをその身に纏っている。
それが【漆黒の姫君】と呼ばれる由縁だ。
他より一段高い位置に設置されている王座から冷めた目でパーティーの様子を眺めているリース、その後ろに控えている黒髪の青年は壁に凭れながらリースに話し掛ける。
「楽しくなさそうだな、リース」
リースは話し掛けてきたのが誰なのか、その口の利き方だけで理解する。
面と向かってリースにこういう口の利き方をする人物は一人しかいないのが分かった理由でもあるが、『自分が彼の声を聞き間違えるはずがない』という自信の表れでもある。
「こんな事をどう楽しめっていうのよ、それともあなたが楽しませてくれるの、胡蝶?」
リースは無表情のまま胡蝶の顔も見ずに、少し離れた位置にいる父王に聞こえない様に呟く。
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