†第零刻『出逢』†

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魔法陣の上に零れ落ちた血は波紋を作り、魔法陣が揺蕩(たゆと)う。 瞼を開き、その様を見ていた少女は順調に進んでいる事に安堵するが、ここからが本番なので気は抜けない。 「アクアノイドの王族 リース=ウォーターエンジュの名に於いて我は喚ぶ 我が求めるは 全てを守護する力を擁す者 相応しき者 血の門を抜け我が喚び掛けに応えよ!」 少女リースの凛と引き締まった声での詠唱を終えるのと同時に、魔法陣に体中の魔力を流し込むのも終えると、魔法陣は紅く煌めき始め、その光は眩さを増していく。 そして紅い閃光が薄暗かった地下室を包み込み、あまりの眩しさにリースも執事も腕で目を庇う。 すると部屋の中に爆発音が響き渡る。 紅い閃光は収まったものの、今度は白煙が地下室に充満し、前がまったく見えない状態になっている。 だが、リースと執事は先程の爆発で地下室が崩れなかった事に安堵していた。
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