―第1話・マスター&MASTER―

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オーナーは懐から取り出したモノをテーブルに置いた。 「………やっぱり」 灰色で艶の無い正三角錐の物体。 掌よりも少し小さいくらいのそれは、石とも鉄とも言えない奇妙な肌触り。 「……よもや、我が娘がと……目を疑ったよ……」 静かながら怒りに満ちた声はかすかに震えを伴っている。 「…………………」 テュオは何も言えない。 目の前の男は今、自分の不甲斐なさを責め立てている。 その行為は、どれだけ愛娘を大切にしていたか、それを現すモノに他ならないからだ。 「………アルタでの失踪、これで三人目だ」 オーナーの顔が、市場を取り仕切るそれに戻る。 そう、 これは既に、エリンだけの問題では無くなっていたのだから。
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