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今日はよく晴れている。
町を取り囲む新緑と透き通った空のコントラストに目が癒される。
町は少しずつ活気に満ちていく。
道沿いの露店、客引きの声を尻目に行き交う人々。
駆け回る子供達。
そんな(かなり)ベタな平和的風景が作られている正午少し前。
「くぅ~~………くぅ~~……」
彼女は未だに夢の中だったりするのであった。
目に優しそうな町を囲む森を連想させる艶やかな緑色の髪……は、寝癖でバサバサ。
ほとんど下着姿でシーツをグシャグシャにして尚、枕にかじりつきながら眠りこけていた。
時は夕べに遡る。
彼女、『テュオ』は昨夜、市場のオーナー夫妻の結婚記念日パーティにおいて、二次会の会場として彼女の店を貸し出したのだ。
結果、日が沈んで程なく、居酒屋『デザートウルフ』は満席。
あとはお決まりのパターン。
深夜にオーナー夫妻を始め、客の全員(酔い潰れ半数以上)を各家に送り届ける頃には、既に東の空は白み始めていたのであった。
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