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店と町とを行ったり来たり、その数、実に30往復。
流石の彼女も疲労困憊。
昼まで寝るのも、理の当然であったわけだ。
彼女の店……一階のメインフロアは昨夜のまま。
散乱した食器に未だに残る酒気。
そろそろ片付けないと近隣の住民から訴訟をおこされかねない……そんな頃であった。
《ドンドンドンッ!!》
メインフロアの両開きの扉がけたたましくノックされる。
嗚呼、既に近隣住民の怒りはピークに達していたのだろうか。
「テュオ姉!!いるか!!入るぞー……って、うを!!?鍵掛かってやがるっ!嘘だろ、まだ寝てんのかよ!?」
少年の声が扉の外から聞こえてくる。
開かない扉に再びノック。
《ドンドンドンッ!》
「テュオ姉起きろってば!!おーい!!」
「……………ん……………む…………………………………うぇ?」
半眼をこすりつつ、ムクリと起き上がる。
彼女の頭は未だに朦朧としているが……『ノックがする、行かなければ』の言葉だけがテュオの身体を一階へとフラフラ運んだ。
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