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「ちょっと待て!ただの人間が一人で好きに歩き回るようなら食われて死ぬぞ!」
慧音が取り乱しつつ怒りつつ紫に怒鳴る。
…そんなに危険なのか?
「普通なら…ね。私の能力でこの子の能力を目覚めさせたからきっと大丈夫よ♪」
「…なるほど。それならなんとかなるか…。」
慧音は納得して頷いているがなんか二人の間で完結したな…。
「……すまないが能力って何の事だ?」
「能力というのは特殊能力よ♪私なら『境界を操る程度の能力』だし、この獣人は『歴史を食べる程度の能力』ね♪強いものはたいてい持ってるわ。」
「貴女は妖怪だったのか。」
「正しくは獣人だ。この里を他の妖怪から守りながら子供達に授業をしている。」
妖怪に近いものが妖怪から人間を守り共に生きる…か
「なるほどな。妖怪やら何やらにも色々あって大変らしいな。
それで俺の能力とは?」
「それは貴方が気づきなさい♪もう目覚めているからきっかけさえあれば使えるはずよ。里を出るなら目覚めてからにしなさい。」
確かに妖怪とかが居るならその方がいいな
死にたくはないし
…それにしても無責任だな
「それなら、しばらくここに住むといい。」
横から救いの手が差し伸べられる。
「いいのか?」
「ああ。そのかわりと云ってはなんだが、色々と手伝ってくれないか?」
「ああ。そのくらいなら問題ない。むしろ頼む。」
俺はようやく表情を崩して笑って云う。
「急に雰囲気変わったな。」
慧音も苦笑いで応じてくれる。
「ああ。初対面でうるさいのはどうかと思ってな。でも、しばらくは一緒に暮らすんだし自然にいくさ。」
「そういうことか。まあしばらくはよろしく。」
「ああ。よろしく頼むよ。」
仮住居が決まったな
野宿かと思ってたぜ
「話がついたようだし私は帰るわ~。お休み~。」
ぐぱぁ…
あの穴が開いて紫はその中に入って帰って行った
(境界を操る…ならあれは世界と世界、もしくは空間と空間のスキマか?)
「とりあえず今日はもう寝た方がいいな。」
「そうだな、分かった。じゃあお休み。」
「ああ、お休み。」
こうして、幻想郷に家出して来た少年の最初の日は終を告げた……。
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