†追憶†

引っ越し

春休みに入った。

母は、親父に仕事が休みだと言って家にいた。

私達は、部屋でゲームをしていた。

相変わらず母は、些細な事で、親父に殴られていたが、わりと穏やかな日が続いていた。

母の実家に行くって話しがなくなったんじゃないかと思うくらいだった。

だけど、その日は違った。母は、珍しく親父にお金を渡していた。

親父は、嬉しそうに母からそのお金を取ると、仕事に出掛けた。

親父が出てすぐだった。

母は窓から親父の車が出たのを確認すると、私達にリュックを渡して言った。

『着替えと、大事な物を入れなさい』

…『分かった』

既に、ある程度の物を送っていたので、あまり荷物はなかった。