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私は、荷物を詰め終わると子供部屋を見渡した。
いつもと変わらずにあるタンスや机…ベッド。だけど、中身は空っぽだ。
なんだか、親父がとっても可哀想になった。
母が、私達を呼びに来た。
スライド式のドアを全開にすると言った。
『リュックをタンスに隠しな!パパが帰ってきた!』
私達は慌て隠し、いつもの様に、ゲームで遊んでいた。
暫くして、玄関のドアが開く音と、口笛が聞こえてきた。
母が言った。
『ヨシさん、どうしたの?こんな時間に。何か忘れ物?』
『おぅ、もっと金貰うの忘れてたからぁ。あと今日は、遅くなるぞ。』
親父はそう言うと、母からもっとお金を受け取り出掛けた。
『危なかった。あんた達、もぅ行くよ!これ以上家にいると、バレちゃうから!』
母は、窓の外を見ながら言った。
私は親父が可哀想だったが、母に促されるまま家を出た。
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