親父

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あれは、小学四年生のある日曜日だった。 母がリビングに私と弟を呼んだ。 『ねぇ、おじいちゃんとおばあちゃん好き?』 『大好き』 私と弟が答えた。 『ママね、パパと離れて暮らしたいの。だから、お祖父ちゃんの家に行こうと思ってるの。ママと一緒に行こう?』 母は、私の両腕を掴んで言った。 私は嬉しかった。母が、弟じゃなく私に最初に言った。 弟は、ファミコンに夢中だった。 私は、それと同時に疑問が浮かんだ。 『パパは?私達が行ったら、パパ一人になっちゃうよ?』 『パパはね、一人がいいんだって。離れていても、世界中であなたのパパは一人だよ。 ママと一緒に行こう』 私は、母の言葉を信じた。親父が一人になりたいと、本当に言ってると思った。
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