突然の…

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一家の大黒柱になったと言っても、連日飲み歩いてた私達に貯金なんてあるはずもない。 やはり、お母さんには今まで以上にパートで頑張ってもらうしかないのが現実だ。 パートで幾ら稼いでるのか聞いた事があったが、それを聞いて驚いた記憶がある。 確か30年前で、5万円位だったような気がする。 ヘタすりゃ、私の1日分の飲み代だ。 それで細々やりくりしなきゃならないのかと思ったら、トモエちゃんと2人改めて私達の金遣いの荒さを反省したものだ。 この頃、私は良く死んだじぃちゃんの夢を見ていた。 明日、お金がなくてどうしよう。 所持金20円しかないよ~ 勿論私の場合は、自業自得に他ならないが。 それでも窮地に追い込まれると、必ず夢に現れるじぃちゃん。 何も話さず、ただ満面の笑みを浮かべて消えるだけなんだけど。 すると必ず着くテーブルで、お客さんにチップを1万円づつ貰ったり、さーちゃんが助けてくれたりするのだ。 本当に毎回必ず、じぃちゃんは満面の笑みを浮かべて現れるのだ。 そして救ってくれた。 ところがこれは横須賀にいた頃だけで、離れてからは1度も夢に現れた事がない。 わざと夢に現れるように、昼間じぃちゃんの事を考えたりしてもだ。 なんとも不思議な話しだが、おそらく家出した私が心配で心配で、ほっとけなかったのかも知れない。 かなりのじぃちゃん子だったし…。 横須賀で無事に過ごせたのも、じぃちゃんが守ってくれたお陰だったと、今でも感謝している。
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