突然の…

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こんな小娘にも関わらず、本当にみんな小手先ではなく、一生懸命に遊ばせてくれていた。 ただ席に着いて、時間稼ぎだけしてりゃいいや、なんて考えで席に着いてる者は一人もいない。 本当にプロの集団だなぁ…。 関心する事だらけだ。 やはり小娘とは言っても、私も今やNo.1まで上り詰めた。 惚けてはいても、人の接客やマナーは良く見ている。 多分ママも、この世界では一目置かれてる存在なんだろう。 そのママのお客さんと言う事もあって、余計に気を使って盛り上げてくれたのかも知れないが…。 ママからのサービスで、フルーツや追加のブランデーも次々に出てくる。 やはり器の大きさを、感じるママだった。 悩みの相談も、いつも真剣に的確なアドバイスをしてくれた。 いつも飲み歩いてて、多額なお金は使ったけど、色んな人との出会いが私の肥やしになったと、今でも思っている。 多分、仕事の往復だけで、貯金通帳を眺めるような生活だったら、私は水商売でも成功する事なく終わっていたと思う。 やはり若いうちは、時には無駄金も必要なんじゃないかな…。 この日の会計をみても、おおよそ熱海とは思えない金額で帰してくれた。 一見さんではなく、この先も来て欲しいと言うママの心配りを十分に感じながら、この店を後にした。 「今度は、トモエも連れて来なきゃね♪」 店を出ると早速、チィちゃんがいった。 「ホントだよね。もうちょっとすれば、トモエちゃんも出掛けられるよね♪」 私達は、口々にそんな会話をしていた。 そして次は、本当に約束通りトモエちゃんを誘って、冬子ママに会いに行ったのだ。
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