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「もしもし、さーちゃん居ますか?」
「今、出掛けてるけど、なんかあった?」
「熱があって、寒気がするんですけど…。
車の電話も繋がらなかったから…。」
「連絡取って見るから、あんた寝てなさいよ。」
「はい。」
そうして、心配で水枕を持ってすぐに駆け付けてくれる奥さん。
「連絡取れたから、来るからね。
もう、ちょっと待っててね。」
程なくして、さーちゃんが現れた。
「お前、悪かったな。
テルちゃん預けて来たんだろ。
もう、帰って大丈夫だからさ。」
「うん、ちゃんと水枕も替えてあげなよ。
今日は泊まって看病してあげて。」
「うん、悪いな。」
「今日は、ありがとうございます。」
辛い時に、こんなお世話になって、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
こんなに人情味があって、面倒味のいい奥さん。
感謝こそしても、さーちゃんにとったら、別れる理由もないよね。
有り難い反面、それが余計私を悲しくさせた。
どこまで行っても、独占する事は出来ないんだ。
私は勝手に、悲劇のヒロイン演じてたけど…
きっと、奥さんもさーちゃんも、もっともっと辛かったよね。
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