クリスマス

2/6
前へ
/628ページ
次へ
クリスマスと言う事もあり、いつもより気合いを入れてドレスアップした。 ヘアスタイルは、ポンパドールで纏め、ドレスは鮮やかな黄色にゴールドのスパンコールを散りばめたロングドレスのアンサンブル♪ 上着は、襟元からずっと白いファーで被われている。 わざわざ、この日の為に新調したものだ。 靴もゴールド♪ バックは白いファー♪ やはり、衣装もショーの一つと捉えていた私は、思いの外に気合いを入れた。 そして、颯爽とお店に向かった。 ところが他の女の子達は、いつもと変わり映えのしないファッション。 中には、普通のワンピースの子までいる始末だ。 私より年上なんだから、ちょっと考えればいいのに… それとも、私がやりすぎたか? そんな事が、頭をよぎる。 そこへオープンして直ぐに、最初のお客さんがママと一緒に現れた。 常連さんで顔見知りな事もあり、みんなフレンドリーな会話を始めた。 私は、顔は見た事あるけど、席に着くのは初めてだったから、遠慮がちにヘルプ席に着いていた。 すると、そのお客さんが、突然説教を始めてしまった。 「今日は、何の日だ。 端から、一人づつ言ってみろ!」 「えっ、クリスマスでしょ? 後なんかあったっけ? もしかしたら、社長お誕生日だった?」 親近感もあってか、口々にそんな事を言っている。 そして最後に、私が聞かれた。 「クリスマスです。」 「そうだよな! 今日は、クリスマスだよな! お前、名前はなんて言うんだ?」 「凪砂です。」 「この店で、今日はクリスマスのイベントだってわかって営業してんのは、凪砂だけだな。 客をバカにしてるにも、程がある。」 それまで和やかだったムードが、一変してしまった。
/628ページ

最初のコメントを投稿しよう!

529人が本棚に入れています
本棚に追加