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去年のこの日、見事に忘れて飲み会へ行った親父は夜中に帰宅。
ドアチェーンを外してもらえず、挙句にその後一週間、俺も巻き込み、乾パンと牛乳しか食卓に上らない生活を強いられたのだ。
振り返った母さんは、マリィの母へ微笑みかけながら。
「リマさん、大事な日を忘れるご主人なんか放っておいて、今日はうちに泊まって行かれません?ね?いえ、今日だけじゃなくて」
母の微笑みが更にキラキラと輝き。
「しばらく滞在、ということでいかが?」
リマさんは、涙をこぼしながらも。
「それじゃ、迷惑を…」「いいえ!」
母はリマさんの手を取り、握り締めた。
「あなたの気持ち、よく解ります!二人で強くなりましょう!」
「…二人で強く!」
握り返す、リマさん。
ここに種別を超えた黄金ペア、完成。
「…さてと」その姿に背を向けようとしたガザの服の裾を、しっかりと握る手、有り。
「……放せ、啓」
「お前だけ逃げるな」
無言で見詰め合ってしまう、俺達。
マリィがいるところなら、どんな無茶しても居ようとするガザが逃げるくらいだ、リマさん、ハードなんだろうな…。
前田 啓 十七歳。
何故、こんなに色々色々試練が…。
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