死神の花嫁2~螺旋の想い

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悲しみに浸っていた俺の傍らで、ガザは何か考えていたようだが、いきなり、俺が握っている上着を脱ごうとし始めた。慌てて、身体に抱きつく。 「放せって!」 「放すか!」 男二人で揉めているところに、マリィが寄ってきて。 「何してるんですか?」  揉め事終了。 ガザは爽やかな表情を取り戻し「何でもない」。 俺は笑ってごまかす。 「ごめんなさい。何か、啓さんの方も大変そうなのに…」 「あ、いや」ははは。 「私、父に話をしてきますので、リマママをお願い出来ますか?」 心細そうな彼女の表情に、今一番悲しんでいるのは彼女なんだとようやく思い当たった。 「ああ。リマさんにはここにいてもらうから。安心しろ」 「お願いします」 深々と頭を下げる、律儀な彼女。そして。 「ガザくんのおばさまには今日は遅くなるって伝えておくわね」 固まる、ガザ。 「啓さんのことまで気遣ってくれるなんて、ガザくんって、ほんとに優しい。じゃあ、ちょっと、行ってきます」 マリィ、時空移動。瞬間的に目の前から姿が消えた。 どこをどうやったら、ガザが俺を気遣っている話になる? もしかして「さっきの揉めてる姿を、誤解された…?」 俺の言葉に、ガザからの返答はない。 ただ、瞳にうっすらと涙が浮かんでいるのが見えて。 黙って彼の肩を叩くしかなかった。 目覚めると、自室の天井が目に映る。 視線を動かし、壁掛け時計で時間を確認。 午前6時少し前。 傍らでうつぶせになって固まっている人物に声を掛ける。 「…生きてるか、ガザ」 いつもとは精彩を欠いた、くぐもった声が答える。 「…何とか」
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