死神の花嫁2~螺旋の想い

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マリィがあっちに帰って、それから「…昨日のこと、覚えているか?」 ガザがむっくりと身を起こした。紙のように白くなる顔色の実物を、俺は初めて見た。 「昼飯抜きで説教されて」 そう。俺たちは『そこに座りなさい!』と正座させられた挙句、『男なんて!』と説教されて。 「夜、おじさんが来て…」 そう、マリィの父親がやって来て、ようやく俺たちは解放されて。 「その後、玄関のチャイムが鳴って…」 そう。あれは、親父が帰ってきたチャイム。 そして、ガザの瞳が爛々と輝く。 「俺は、何も見ていない。聞いていない」 口元がわなわなと震える。 「何も、見ていないんだ」 それ、現実逃避してるだけだから。 突っ込みたくても突っ込めない状況。何しろ、俺も、そう信じたいんだ。 やがて、壁の時計が六時を示した。 ガザは冷静な声で呟いた。 「仕事に行かなければ」と。 止める間も無く、空間移動。たった一人取り残された俺は、どうすればいいのでしょう? とりあえず、朝ごはん、食べよう。 起き上がって階下へ行くべく、部屋の扉を開くと、目の前に昨日の女性の幽霊がいた。しかも、土下座している。 状況の把握が出来ず、見つめて突っ立った状態の俺。 女性の幽霊は、非常にすまなそうな表情で、必死に口を動かしている。 『ごめんなさい、ごめんなさい』 『ご迷惑かけて、ごめんなさい』 迷惑って…? 俺、迷惑かけられた? でも、二度しか会ってないし。 余計訳がわからなくなった俺、結局、立ち尽くすしかない。 そこへ、マリィが階段を上がってきた。 「啓さん、起きていらっしゃったんですね」 「あ、ああ」 「ママとおばさまは寝てらっしゃいます。しばらく起こさない方がいいかも」 同感。
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