死神の花嫁2~螺旋の想い

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マリィが上目遣いで今度は俺を見る。 そんな縋り付くような瞳で見なくても。 「行って来いよ。待ってるからさ」 俺は手を離して、万歳の姿勢をとって見せた。 「じゃあ、お家で」 「ここで待ってる。大丈夫、行って来い」 ちょっと視線が宙を彷徨い、ようやく決めたらしい。 「急いで提出してきます。あんまり遅くなるようなら、先に戻っていて下さいね」 マリィは身を翻すと瞬時に空間移動。 そして、男二人が残された。 「さよなら、ガザ」 「あいつ、また戻ってくるんだろ」 動く気無し、ですかい。 「仕事はいいのか」 「終わった」 ああ、そうですか。 そして、沈黙の時間。 先に耐え切れなくなった俺は、体中の空気を全部吐き出すくらいのため息をついて、ガザと向き合った。 「お前、エリートなんだってな」 ガザが点目で俺を見た。 「誰がそんなこと…ああ、マリィか」と一人で納得した様子。 「エリートって訳でもないが…あと、何か言ってたか?」 「あとは、自分の事を『半人前』って謙遜してた」 「そうか」 ガザの眉根に太い縦線が一本。 「…やだな、って表情だな」 「別に」 そうして、ガザは背を向けた。 「あいつは、『半人前』なんかじゃねえし」 苦々しげに呟いたそのセリフが、嫌に神経に張り付いて。思わずその真意を聞こうとした時。 「お待たせしました」 天真爛漫な笑顔のマリィが登場。 で、結局、三人で俺の家へと向かうことに。 嗚呼、何だか俺って自縄自縛。
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