死神の花嫁2~螺旋の想い

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ひとまず二階の自室へ着替えに戻った俺は、とにかく気が気でない。 パソコンだって、居間にあるだけ。あの母の事だ、配線をどこか抜いていてもおかしくない。日頃穏やかな分、一度怒らせるとトコトン尾を引くタイプ。しかも、手段を選ばない。 息子としては、ひたすら、親父の記憶力に望みを繋げるしかないのだ。 シャツを脱ぎ捨て、顔を上げると、窓の外から覗いている女性と目があった。 ここ、二階。 向こうもびっくりしたように、こっちを見ていた。 何かを話し出した。声が聞こえない、どうしたものかと思っていると、女性の口元がオーバーアクションに変わり、言葉を作り出す。 『あ・な・た・あ・た・し・み・え・る・の』 こくんとうなづいて見せた。 女性がうれしそうに笑う。 その顔が、身近な誰かを彷彿とさせる。 すると、急に真面目な表情になった女性は、真剣な目で俺に何かを伝えようとしていた。 『お・ね・が・い』 『か・の・じょ・に』 と、消えた。 慌てて窓に駆け寄って、外を覗き込むが、何の痕跡も残っていない。 今のは、誰? かのじょ? 考え込もうとした俺は、大きなくしゃみで我に返る。 まだ上半身裸のまま。先に着替えてしまわないと風邪を引く。 タンスから上着を引っ張り出し、着ようとしていたところでいきなり開かれる部屋の扉。 「啓さん、まだですか?」 俺、まだ上着着終わっていません。 マリィは俺の状態を見ると、顔色一つ変えず無言で扉を閉めた。その後に響く走り降りる足音。 下、はいてて、良かった。
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