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着替え終わって階下の居間へ戻ると、居間から見えるキッチンに母さんとマリィが並んで立っていた。
マリィは俺に気付くと、慌てたように頭を下げた。
「ごめんなさい!着替え中なのに、私…」
「いや、大丈夫」上半身くらい、12禁にもならないだろうし。
「そうよ、マリィちゃん」
母さんは、面白そうに笑うと「いつか全部見ることになるんですから」
俺とマリィの視線は母さんに向けられた後、お互いに向けられ、ようやく言葉の意味に気付いて、全身が発熱。
「まあ、可愛いわね」とコロコロ笑う母。
純情な息子をからかうんじゃない!
どうしようもなく突っ立っていると、後ろから頭を丸めた雑誌で強烈に殴られた。
「…本気で殴ったな」
頭を抑えて蹲る俺が、上目遣いに見上げた先には、ガザが全身から青い炎を飛ばして立っていた。
「本気だったら、鎌が出ている」
手加減してくれたんですか。お優しいことで。
マリィは顔を赤くしたまま、再び母さんとキッチンの方へと向き直っていた。
「これ以上馬鹿になったらどうしてくれる」
「マリィのことは任せておけ」
ニヤリと笑う姿は、同性からみてもカッコイイってのは、悔しい話しで。
それでもって、「何かトラブルか?」と何気に聞いてくるところは、鋭い奴。
俺はため息交じりで答える。
「親父さまが早く帰ってきてくれりゃ、問題なし」だから。「心置きなく、夕飯食ってってくれ」
「なら、いいが」
そこで突如鳴り響く玄関のベル。
こんな時間にセールスマンか?
のたのた歩いて行って、玄関を開けると年齢不詳の凄い美人が立っていた。
何か怒っているらしい。剣呑な雰囲気が立ち上り、俺の全身には思わず知らず鳥肌がびちびちと立っていた。
二度ほど会ったことがあるこの美人、マリィの母親の「リマさん、どうしたんですか?」
「マリィ、来てるんでしょ」
こっちの返答を聞く前に、ずかずかと家の中へ入っていった。
慌てて後を追った、俺。
マリィの母は、娘の姿を見るなり宣言した。
「マリィ!あたしはドォーディと離婚するからね!あんたはあたしと来るでしょ!!」
は? その部屋にいた全員があっけにとられた。
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