くずれる

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「君,いつも来るの早いね」 美術部の顧問の秋田先生が,雑誌に視線を下ろしたまま聞いてきた。 「そうですかね~…」 俺は,美術室に入りながら返事をした。 「ふふ,宮城さんに逢いたいから早く来るんでしょ?」 俺はどきっとした。 先生は,イヤミに笑うと右手でコーヒーの入っているカップを口に持っていき,左手で雑誌をめくった。
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