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「もぉ…限界…」
夕陽のさし始める放課後の図書館で、とうとう道也は音を上げた。
机に伏せた道也を見てから、腕時計で時間を確認する。
勉強を始めて二時間半。
道也にしたら頑張った方だろう。
今日はこれくらいで解放してやるか。
「お疲れ」
教科書を閉じ、足元に置いていた鞄に片付けて、机に顎をつけて顔を歪めている道也に笑いかけた。
「宿世君が笑ってるよ」
「可愛い❤」
「道也君といるときだけ、何だか雰囲気違うよね」
小さな声が聞こえてくる。
…俺だって普通に笑う事位あるんだけど。
しかも男に対して可愛いって…。
毎度の事だけど、いい気はしないんだよな。
放課後の図書館は、静かで好きだけれど、どうも道也といると特に女子の視線を強く感じる。
しかもテスト前。人目は避けられなかった。
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