2492人が本棚に入れています
本棚に追加
天井を仰いでため息をつく。
「相変わらず人気ものだなぁ…」
その声に道也の方を向くと、男らしい精悍な顔を崩しさわやかに笑っていた。
道也は180センチを越す身長にきりっとした顔立ち。
そのくせ笑うと少し幼く、とても明るい印象になる。
「そんなんじゃねぇよ」
俺はそう呟いてから思う。
お前のが人気者じゃねぇか。と。
思うだけで口には出さないが。
道也が女にもてるのはもう既に本人の知る所だし、嫉妬している訳でもないが、こいつが調子に乗ると少しイラッとするからだ。
…俺もなかなか心が狭いかもな。
「なぁ、ちょっと小耳に挟んだんだけどな」
道也が楽しそうな声で俺に顔を近付け耳打ちをしてきた。
「何?」
思いの外小さな声に、顔を近付けるとまた図書館中に黄色い声が沸き起こる。
お陰で必要以上に道也に顔を寄せないと声が聞こえない。
「転校生が来るらしいぞ」
「今頃?」
「何かめちゃくちゃ強いって話だった」
道也のやたら楽しそうな声が耳に響いた。
*
最初のコメントを投稿しよう!