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「まぁ、みんなにお披露目の前に、お前に声がかかるんじゃない?生徒会長」
「…面倒臭い」
俺は机に頬杖をつきながら、本心から呟いた。
見知らぬ他人の世話を焼ける程、人間が好きではない。
それにお守りは道也だけで沢山だ。
生徒会だって、何故か成績と理事長の孫ってだけで入れられただけで、好きで入った訳ではない。
生徒会長職だって、何故か勝手に推薦され、いつの間にか決まっていただけだった。
馬鹿でかいうちの学校の生徒会は案外大変で、毎日山の様に仕事がある。
「そういうなよ、忙しいのはわかるけど」
道也はそこで一回言葉を切り、腕を頭の後ろで組みながら呟いた。
「でも珍しいよなぁ、双子が同じクラスなんて」
「双子?」
気になった言葉を頭の中で反芻してから、少し間をあけて俺は聞き返す。
「写真見れたのは兄貴だけだったけど、あの顔が女の子だったらマジやばいって」
似ている…『双子』…か。
『もしかして』と浮かび上がった淡い期待を、再び唇を噛んで飲み込む。
もう…落とされるのはこりごりだ。
「お堅い虎狼でも惚れちゃうかも」
道也は俺を覗き込んで、相変わらずの明るい声で言った。
『俺はそんなんじゃない。お前も良く知ってるだろ?』
…言おうとしたが、道也の曇る顔が見たくなくて、口にするのを止めた。
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