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テストも無事に終わり、英田に呼ばれていた俺は職員室の中にある面会室のドアを叩いた。
叩いた後、何となく後ろを振り替えると、職員室はテストが終わり、漸く1週間振りに生徒の入室が許され、いつもの活気を取り戻している。
「あ、宿世君だ」
「今日もカッコいいね」
振り向いた瞬間に俺を見ていたらしい女子と目があい、黄色い声が上がった。
俺は軽く微笑んで見せてから、身体を正面を向きなおす。
更に甲高くなる声にはもう答えるつもりはなかった。
別名、貴賓室とも(教師の間で)呼ばれているこの部屋に、転入生がいる事は珍しい。
どっかの大会社のVIP…御曹司なのか?
うちの学校は普通の私立より学費が高い。
古い校舎の維持と伝統、そして木々などの環境維持にそれなりの費用がかかっているからだ。
どこかの御曹司とは思ったけど、金持ちなら特待生扱いはしないだろうし。
それはないだろうな…。
そんな事を考えながら
「失礼します」
カチャリと音を立ててやたら重厚な扉を開く。
無駄に広い面会室の皮張りのソファーには、4人の家族と英田が座っていて、中に入った俺を一斉に見た。
ここにいる事が信じられない人達に
――正直驚いた。
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