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「虎狼、悪乗りしない」
月華は俺の顔を見上げてきた。
「何で?俺は月華の赤ちゃんだったら欲しいけど?」
月華とだったら、それ位の覚悟はとうにある。
むしろ結婚は、月華としかしたくない。
月華を独り占め出来るんだったら、俺にとってはそれ位何でもない。
まだ子供に月華を取られるのは嫌だけど、月華との子供だったら…特に女の子だったら文句ないかな。
そんな俺の考えなんて伝わるはずもなく
顔を真っ赤に染めて睨んできた月華は、俺の台詞にこれ以上染められない程顔を紅くした。
「本当に虎狼は月華ちゃんの前だと素直なのね」
いつもより穏やかな叔母さんの声が俺の中に響いてくる。
性格が素直…というのではなく、気持ちを表に出すという意味だ。
幼い頃はそんなに聞き分けがない子供ではなかった。
むしろ、反抗なんて何もしなかったと思う。
ただ人形の様だった俺が…月華といる時だけ素直になれる感想は
「自分でもビックリだよ」
だった。
「そんな素直に笑った顔も久し振りだもの。一緒にいてくれてありがろう。月華ちゃん」
叔母さんは、一層艶やかに微笑んだ。
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