回想と救い

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  今ならわかる。 きっと…母さんは苦しんでいた。 女1人で子供を育てていく苦労は、並大抵の事ではなかっただろう。 母さんの実家の事情は、よく分からない。 戻ってないという事は何かしらの確執や事情があるのだろう。 物心ついた時から、俺にはじいちゃんは1人しかいなかった。 そこで安らぎと温もりを…昔の俺みたいに求めて、他の男に溺れていく母さんは、何度も裏切られて苦しんだだろう。 増えていく薬、切り傷、血の匂い。 記憶の母さんは、美人だったから男が放っておかなかった。 でも、母さんに問題があったのか、寄ってくる男もろくなヤツがいなかった。 そんな母さんを護ろうとも思わなかった。 ただ、母さんが怖くて仕方なかった。 *
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