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「大丈夫?転んじゃったの?」
男の子が抱えている膝に、うっすらと血が滲んでいた。
男の子は泣くのを止めて、頷いた。
「痛かったね。」
そう言いながら、ティッシュを出し、傷口に当ててあげた。
男の子は、今まで大声で泣いていたのが嘘のように、笑顔になって立ち上がった。
「お姉ちゃん、ありがとう。」
男の子は、上級生の子達と一緒に、また学校へと歩いて行った。
傷の痛さで泣いていたんじゃないような気がした。
あの子はきっと今の私と同じ…
私もあの子のように、いつか笑顔になれるかな…
そう思ったら、頬に一筋の涙がこぼれていた。
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