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自嘲するように苦笑いを浮かべる俺
俺とは相反するように柔らかい笑みを浮かべる姫
『亮は…優しいね』
優しいのはお前だ
俺はこんな言い方しか出来ない
でも、そんな俺を優しいという姫
なぁ、知ってるか?
姫の言葉が俺の心をほんのりと温めて居てくれることを
言わないからわかる訳がないが―
『亮、私ね…亮が好き、大好き』
昨日も言ったけど…と笑いながら言う姫に、苦笑混じりに頷いた
好きだった姫に、昨日告白されて付き合いだした俺たち
その時に言われた台詞が今さっきとまるっきり一緒だった
嬉しさと恥ずかしさが混じりあって俺はただ、頷くことしか出来なかった
(…姫みたいに…言えたら)
と、考え意気込むもやっぱり無理で言えずにいる
女はやっぱり言って貰いたいものだと、昨日偶々見た雑誌に書いてあった
頻繁にとか、時々とか…俺には普通に考えて無理なことだった
でも、やっぱり可愛い彼女には言いたいもので姫の喜ぶ顔が見たかったりもする
だからな
今日だけは特別だからな
「姫…愛してる」
『っ//』
突然の俺の言葉に顔を真っ赤にする姫
でも、やっぱり嬉しいのか直ぐに笑顔を浮かべる
そんな姫を見て良かったと思うと同時に恥ずかしさが込み上げてくる
顔を真っ赤にして、その顔を片手で隠す俺
俺を見てクスクスと笑う姫
でも、言って良かった…という言葉が胸に広がる
姫の照れた顔も嬉しい顔も見れたしな
『亮、私も愛してるよ』
付き合って一日も経ってないけれど、愛おしいさは募るばかり
それは姫だからで、きっと他の女だったら有り得ない
それは確信にも似た確証だったりもする
好きとか簡単に言えないけれど、ちゃんと思っているから
だから、俺だけを見てくれ
(亮、朝練は?)(げ…)(…跡部くんに怒られるね)(…最悪だ)
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