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[柳生比呂士夢]
好きなのに
周りからの
視線を気に過ぎてしまう
‡相反する二人‡
私の彼女は私とは全く正反対。似ていると言えばペアである仁王君でしょう。何故、とお思いでしょうが私はちゃんと彼女を愛してますし、彼女から愛されている自覚はあります。自惚れではなく、本当のことです。彼女のあの可愛いらしい笑顔を出せるのは私自身であり、彼女自身が笑顔を見せるのは私自身だと自覚してありますから。
『比呂士?』
微か眉根を下げては不安げに見つめる私の愛おしい人。自分だけがその瞳に映ることが出来ると思うとだらしなく笑みが浮かぶ
「どうしました?」
私は紳士らしくならねばならない。それは義務付けられたものでは自分自身で決めた約束。女性は弱い生き物だと彼女を見れば良くわかる。私が当たり前だと他の女性に優しくすると彼女は嫉妬し、涙を溜めてしまうまで我慢し私には話してはくれない。
(今まで何度泣かせたことでしょう…)
自己嫌悪に浸りながらも、彼女の頭を撫でる。私自身が触れて居ないと落ち着かないのか、思考を巡らせながらも彼女を触れることを止めない。彼女も彼女で嬉しいらしく、嫌がることなく嬉しそうに甘えるようにすり寄ってくる。
それが可愛いくて愛おしくて、つい抱き締めてしまう。こういう事に余り慣れていない彼女は直ぐに顔を真っ赤にして、困ったように見つめてくる。それをわかってしてしまう私はきっと意地悪でしょうね。
『比呂士…何か意地悪…//』
困ったようにでも、何処か嬉しそうに笑いながら言ってくる彼女の姿が余りにも可愛いらしくて、キツく抱き締めてしまった。彼女は時々、無意識にこういう表情をするからタチが悪い。
「意地悪」という言葉は私にとっては無縁のもの。ただ今は彼女にだけに現すことの出来る愛情表現。
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