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彼女に振られた。
バイトに遅刻した。
親からの着信履歴が残ってた。
不採用の通知が来た。
家にビールが無かった。
友達は留守電ばっかりだった。
パチスロで負けた。
さぁ、俺の「救いよう」はどこへ行った。
自宅とバイト先と飲み屋と、ちょっとした+αを行き来するだけの俺の小さな世界に、これだけの不幸があれば「救いよう」は謂わばもう「ない」。
クリスマス前、28歳フリーター。
まさに「救いようがない」、だ。
冷蔵庫の中を眺めているだけじゃ、買い忘れたビールは湧き出てこないだろう。
諦めるか、買いに行くか。
答えは決まっているんだ。
こんなとき、無駄な行動力を浪費するから肝心なときに行動できないんだ俺は。
先日、別れを切り出した彼女を引き留めることも出来なかった男・俺こと中山は、愛するビールを買うために、重い重い腰を上げて軽快に冷蔵庫を閉めた。
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