蜃気楼

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思いたったら、若干ネガティブな心も安らかではあったが、少しずつ晴れてきたような気がする。 でも逆に言えば、ずっとネガティブで生きる事を選んだのかもしれない。 気分が晴れているからといって、その人がポジティブな人間とは言い切れないだろうし。 俺は、自分の事がサッパリ理解出来ていない。 感覚的に生きてきたからなのか、自分が周りに理解されない事を何度も体験した。 ある人に、理解されようとしていないからじゃないのか?と叱責された事があったが、そんなつもりは無い。 理解されようと勤める程に、人が遠ざかっていくのが二十歳くらいの時にわかった。 喰うために殺される黒毛和牛と同じ気持ちだろう… 飼い主の言いなりになればなる程、霜降った美味い肉になる。 初めから相手に期待しないのが、一番楽でいい。 そんな態度に、付いて来る人間は数少ない。 どっちにしろ、孤独だ。 早いか遅いかだけ。 それだけ理解したら、残りの自分は知らなくてもいいと思う。 もうひっそりと暮らす事をやろうとしているのだから、相手の気持ちを考える必要もない。
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