握り締めた紙切れ

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七月の東京。 エアコン無しじゃ目も当てられない。 空にあるカンカンのお日様は、巨大なビルを熱する。 その下で、スクランブル交差点に整列し待つ俺らサラリーマン達。 まるで、ポマードをたっぷりかけたグラタンの中にいるみたいだ。 しかも今日はまだ、一件も回れていない。 アイツの小言と、この暑さのせいでやる気が完全に削がれた。 だから、午前中からいつもの小汚い公園で、アイス食いながら散々サボり散らしてやった。 …営業一件も採れなかったら、会社に帰る事すら出来ない。あんな所に帰った所で、どうせポマードのグラタンだろ… なにが、エコだよクソ野郎どもが…
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