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某は当時六歳だった。
けど…何もなかった。
…某の目は朱い。
普通の人ではないと証明していたその目を…某は憎んでいた。
同じ館に住む者たちからは怖がられ…友と呼べる者はいなかった。
唯一俺を見ていてくれたのは両親だけ。
「朱雀…朱雀!」
「はぃ母上。」
「…あなた宛に神園家の方から手紙が届きましたよ!」
「神園家…?」
「前にお話したでしょう?我らが護るべき方々ですよ。」
「……。」
手紙を受け取って開いてみる。
そこにはこう書かれていた。
「………。」
「朱雀?読まないのですか?」
「…母上…漢字が…(・_・、)」
「え…ああ。わかりました。私が読みます。」
母上に手紙を渡して、耳を澄ませる。
「朱雀殿…炎門館の若者の中で貴方ほどの技量をもつものはそうは居ないはず。是非とも我らが姫の護衛となっていただきたい。…やっていただけるかは貴方の意志で決めて欲しい。故に一度我らの屋敷に参られよ。日時はそちらに合わせる。」
「姫の…護衛…?某はまだまだ未熟…護衛などとても…。」
「…神園家は若い時に護衛を依頼し、主と忍との信頼関係を作ることを大切にしているのです。」
「では某はそれに…。」
「選ばれたのでしょうね。それに主を忍に決めさせるのは神園家の方以外は決してなさいませんもの。」
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