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母上は某の頭を撫でながら優しく微笑む。
「し、しかし母上…きっと姫様は某の目をいやがると思います。」
「…そのことは、会ってみなければわかりませんよ。…それで朱雀が嫌なら断ればいいのだから。」
「…はい。」
「では私は首領に伝えてきます。」
首領とは我ら炎門館のリーダー。
某の…父上だ。
「…姫様…か…。」
(どのような方なのだろうか…。)
噂では体が弱い方と聞いた位で、他のことはわからない。
「…会って…決める…。」
とにかく会ってみなければ始まらない。
某は会う決心を固めた。
――それから一週間後
3日後会う―…という文を出したのだが、結局一週間後になった。
おそらく姫のご病気の関係だろう。
「朱雀…くれぐれも失礼のないようにな。」
「はい、父上!」
「…菓子が出されても全部食べちゃだめよ。」
「…はぃ、母上…。」
「ゴホン…とにかく気をつけてな。」
「はい!!」
父上から預かった手紙と土産を持って神園家に向かった。
神園家までは歩いておよそ三十分。
「…緊張してきたでござる。」
手を挙げて横断する。
久々に街に降りてきたが、以前よりもまた賑やかになっているようだ。
「いい匂いがするでござる…はっ!いけないでござる寄り道をしては!!」
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