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「私が案内します。着いてきてね。」
「はい!!」
続いて歩いていくと、日がよく当たるであろう縁側の部屋の前に案内された。
「ここよ。…美音、入るわね。」
「はい…。」
「ゴクリ…。」
思わず息を飲んだ。
(いよいよ…姫様と…。)
某は俯いて部屋の中に入った。
目を見られたくないから…。
長や奥方様には何も言われなかったが、姫様はわからない。
「調子はどう?」
「昨日よりは…。」
「………。」
会話を聞きつつ少し離れて座った。
姫様は布団から体を起こした状態だった。
病み上がりなのだろう。
「…そちらの方は?」
「炎門館から来てくれた朱雀君よ。」
「朱雀さん…?」
「同い年だから敬語はいいのよ。…では仲良くね。」
「あっ…。」
奥方様は出て行ってしまった。
「…朱雀…と呼んでもいいですか?」
「!は、はい姫様!!」
その場から動かず、顔も伏せたまま答えた。
(透き通るようなお声だ…。)
「…もっと近くにきてください。」
「…はい…。」
姫様の顔も見ぬまま言われた通りに近づいた。
「…顔をあげて。目を見せて…?」
「それは…。」
「…お願いです。」
「……。」
(何を戸惑うことがあるでござるか…姫様のお望みだぞ…!)
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